忙しい毎日を駆け抜ける私たち。心地よい香りに包まれ、心身をリフレッシュしたいと願うことも多いのではないでしょうか。そんな時におすすめなのが、古来より受け継がれてきた「塗香」。
塗香は、香木や香草などを調合した粉末を指先に取り、手首や首筋、衣服などに塗るお香です。清めや香りを楽しむだけでなく、心身に様々な効果をもたらすとされています。
今回は、紀元前3世紀に作られた仏教経典「華厳経」に記された「塗香の十徳」をご紹介。香りに秘められた10の恵みを通して、塗香の魅力を再発見しましょう。
塗香の十徳
- 精気を増益する
- 身体を芳潔ならしめる
- 温涼を調適する
- 寿命を長からしめる
- 顔色を光盛ならしめる
- 心神を悦楽ならしめる
- 耳目を清明ならしめる
- 人をして強壮ならしめる
- 見る者をして愛敬せしめる
- 大威厳を具する
<原文>塗諸妙香 具十功徳 一増益精氣 二令身芳潔 三調適温涼 四長其壽命 五顏色光盛 六心神悦樂 七耳目精明 八令人強壯 九瞻覩愛敬 十具大威徳
大正大蔵経「大方廣佛華嚴經卷第十一」
下記の記事でご紹介した「香十徳」は、華厳経の中にある塗諸妙香具十功徳(塗香十徳)を参考にしたのではと言う説もあります。どちらも記載されている内容を見てみると、古来の人々は、今のように科学的に証明されていなくても自身の心と身体で、その徳を感じとっていたのがわかりますね。
香十徳は、香りの持つ不思議な力と、古来の人々の知恵が凝縮されたものです。塗香を生活に取り入れることで、心身ともに豊かな彩りを添えてみてはいかがでしょうか。